法楽日記

デジタル散策記&マインド探訪記

相田和弘「ヴィパッサナー瞑想体験記」

相田和弘さん「ヴィパッサナー瞑想体験記」(全11回)を読みました。とても興味深い連載でした。

社会正義の追求は、怒りや苛立ちといったネガティヴな感情(煩悩)と切り離して行うべきではないか。外的世界(この世)で『善』を追求するためには、内的世界(自らの心)の『悪』と決別すべきではないか。著者の主張に賛同しました。

仏教的な観点からは、社会正義の追求や社会悪の撲滅を進める上で、怒りや憎しみなどの感情(煩悩)はまったく不要な存在だと思います。煩悩をエネルギー源にするのではなく、慈悲や智慧菩提心をエネルギー源として活動するのが仏教的な態度だと思います。(キリスト教では『無条件の愛』がエネルギー源ではないかと思います)

私の個人的な経験からも、ものごとを解決する上で、怒りや憎しみはマイナスの効果しか持たないように思います。深呼吸して冷静さを取り戻してからことに当たった方が、よい結果を生むように思います。そこで、私の中から怒りや憎しみをどんどん捨てていきたいと思っています。もちろん簡単なことではありませんが、そういう気持ちを持っているだけで日常生活が随分と違ってくるように感じています。

社会参画仏教 (Engaged Buddhism) では、このような心の持ち方は必須ではないかと思います。徳川家康が馬印として使った「厭離穢土、欣求浄土」という言葉も、仏教的にはこのような意味を含んでいるのではないかと思います。私の目指すアヒンサーも、このような心の態度を含んだものです。

掲載誌:週刊金曜日 1255号(2019年11月1日号)〜1267号(2020年2月7日号)全11回


日本ヴィパッサナー協会の瞑想センターは、京都ダンマバーヌ(京都府京丹波町)と千葉ダンマーディッチャ(千葉県睦沢町)の2施設があるそうです。この連載は、著者が2019年8月下旬に千葉県での十日間コースに参加した際の体験記だそうです。著者の相田和弘さんは、この連載が掲載された週刊金曜日編集委員でもあります。