（１）親分格を急角度で見上げる
これまでに、「虎の威を借る狐」となって威張り散らす人たちに何人か出会ってきました。その人たちの共通項を探してみました。
おそらく、彼らは自己否定の心がとても強い人たちです。そこで最初のうちは猫を被ったような言動を取ります。
自己否定の心が強いので、他人を見上げる角度も見下す角度も急角度です。身の回りの親分格の人を、ものすごい急角度で見上げます。急角度で見上げるので、自分の理想像を強烈に投影します。その結果、途轍もなくすばらしい人物に見えるようになります。そのため、自然に恭しく接するようになります。そして、その人の言う通りに振る舞い、その人のためならすべてを投げ出す覚悟で必死で働くようになります。
（２）身の回りの人たちを急角度で見下す
やがて、親分格の人のお気に入りになって、子分のひとりになります。子分になった途端、自分自身の格付けが、親分格のすぐ下くらいにまで一気に高まったように感じるようになります。
その状態で身の回りの人たちを見渡すと、みんな自分より格下に見えてしまうようになります。それまで格上に見えていた人たちまで、思い切り格下に見えるようになって、思い切り見下すようになります。
身の回りの人たちを急角度で見下すので、身の回りの人たちに自分のマイナス・イメージを投影するようになります。もともと自己否定の心がとても強い人なので、マイナス・イメージも猛烈に低いものとなっています。そのイメージを身の回りの人たちに被せるので、身の回りの人たちがとんでもないダメな人に見えるようになります。
（３）猛烈な怒りの感情が湧き上がる
自分の猛烈なマイナス・イメージを被せるということは、相手の中に自分の嫌なところを猛烈に見るようになると言うことです。そのため、身の回りの人たちを見るだけで怒りの感情が猛烈に湧き上がってくるようになります。腹が立って、腹が立って仕方がありません。
そこで、身の回りの人たちに怒りの感情を向けるようになります。怒り散らした結果、従順に振る舞うようになる人は、ものわかりのよい優秀な人と位置付けられます。しかし、従順さの足りない人は、猛烈な悪党に見えてしまいます。
そこで親分格の人の前で、あの人はとんでもなく悪人だ、この人もとんでもなく悪い人だ、と鬱憤を晴らすようになります。親分格の人からすると、かわいい子分が血相を変えて報告するので、無碍にするわけにはいきません。結局、鵜呑みすることになるのではないかと思います。その結果、たくさんの人生が踏み潰されていきます。
（４）怒り散らす
彼らの中では、こんな風に事態が進んでいるのではないかと思います。
以上をまとめると、「虎の威を借る狐」となって威張り散らす人たちは、実際には、自分より格下の人たちが途轍もなくダメな人に見えて、腹が立って仕方がないのではないかと思います。本当は、威張り散らしているのではなくて、怒り散らしているのではないかと思います。
