法楽日記

デジタル散策記&マインド探訪記

1 + 1 = 2

(1)1 + 1 = ?

小さい子が「1 + 1 = 2」を教えてもらうとき、すぐに納得する子と、なかなか納得しない子がいるようです。私は頭が悪いのですぐに納得してしまったように思います。しかし、頭がよくていろんなパターンを考えられる子は、なかなか納得できないようです。

例えば、粘土が2個あるとして、くっつけたら1個になるので、この場合は「1 + 1 = 1」じゃないの? ビスケットが2個あるとして、ぶっつけたら割れて5つになったので、この場合は「1 + 1 = 5」じゃないの? りんご1個とみかん1個があるとして、合わせてもやっぱりりんご1個とみかん1個なので、「1 + 1 = 1 + 1」のままじゃないの? などなど、頭のよい子はいろんな例を見つけることができるようです。


(2)大人の教え方

そのような疑問に対して、大人が取る態度は大きく分けてふたつあるように思います。

ひとつは、「1 + 1 = 2 に決まっている!」、と鵜呑みにさせるタイプです。それに素直に従うことのできる子どもだけが褒められるようです。納得できない子どもは傷ついてしまうのではないかと思います。(しかし教える側には楽チンな方法だと思います)

もうひとつは、「1 + 1」が 1 になるのはどんな時で、2 になるのはどんな時で、5 になるのはどんな時で、、と子どもたちに考えてもらうタイプです。そうやって「1 + 1 = 2」はどんなときに成り立つかを自分たちで見つけてもらうと、納得してもらいやすいのではないかと思います(例えば、同じ種類の、形質を変えないものを数えるとき)。そして、算数では「1 + 1 = 2」と同じ対象の計算方法を学びます、と宣言すれば子どもたちの疑問は解消するのではないかと思います。(しかし教える側の難度は高いかもしれません)


(3)便利な約束事

ちなみに、大きくなると「1 + 1 = 1」となる場合や、「1 + 1 = 10」となる場合も習うと思います(例えばブール代数と二進数)。すなわち「1 + 1 = 2」は絶対的真理ではなく、一定の約束の元に成り立っているにすぎなくて、その約束事が作る算術世界が便利だからこそ、道具として広く使われているのだと思います。

とても大事な約束事なので、例えば「来年度から 1 + 1 = 3.14 とする」と閣議決定したとしても、誰も従ってくれないと思います。それどころか内閣が崩壊するかもしれません。そのくらい重要な約束事だと思います。


(4)制約があるから美しくなる

算数や数学は一見すると複雑そうに見えますが、実は逆に条件を絞って単純化したからこそ成り立つ世界で議論しています。条件を思い切り絞ったからこそ、複雑な世界を表現できています。条件がシンプルだからこそ、応用力がとても高いです。

適切な制約は、逆に自由度や表現力を高めて、美しい世界を作り出します。算数や数学は、それを理解するのにちょうどよい科目かもしれません。そう言えば、「博士の愛した数式」ってありましたよね。