法楽日記

デジタル散策記&マインド探訪記

絵に描いた餅とモグラ叩き

(1)絵に描いた餅

以前読んだ報道によると、厚生労働省は公立(公的)病院や保健所の統合・再編を進めてきたそうです。その方針は今も変わってないそうです。いま、拠点病院や保健所にものすごく大きな負荷がかかっているのも、PCR 検査数が伸びないのも、第二波への備えが十分にできそうにないのも、その政策の結果ではないかとも思います。(逆に街の病院は感染を恐れて空いているそうです)。大都会の上空で曲芸飛行をして、絵になる写真を撮るために医療従事者の仕事を中断させている場合ではないと思います。行政は、現場で何が起きているのか、何で困っているのか、きちんと把握して対策を打っていく必要があると思います。

各種支援金のオンライン申込サイトがいくつか立ち上げられているそうです。システムがきちんと構築できていれば、手間極小、郵送不要、瞬時処理であっという間に支援金が振り込まれるはずだと思います。ところが、不具合で長期間停止したままになっていたり、郵送申込より人手がかかるので「使わないで」と呼びかけられたり、など問題のある申込サイトがあるそうです。そのためもあって、各地の役所では膨大な事務処理が必要となり、郵便局は膨大な郵便物を捌かねばならなくなっています。官製マスク配布が追い討ちをかけています。制度設計、システム構築のプロが参加しないと混乱はますます大きくなるのではないかと思います。

日本は「絵に描いた餅」の専門家が高く評価されて、出世してしまう国なのかもしれません。逆に、きちんと仕事のできる本当の意味での専門家は低く評価されて、発言権のない非正規職員としてコキ使われてしまう国なのかもしれません。。まさにアベコベだと思います。


(2)モグラ叩き

報道を見ていると、世の中、問題だらけです。あっちで問題が発覚して慌てふためいていると、今度はこっちで問題が発覚してまたまた慌てふためいて…。まるでモグラ叩きのようで、まったくキリがありません。

しかしそれは、喩えるなら、モグラが地表に顔を出した瞬間だけを見ているから目が回りそうになるのだと思います。もしも地中を動き回るモグラ一匹一匹の行動をきちんと把握できていれば、いま何をしていて、いつどこからモグラが顔を出しそうか、事前にきちんと把握できることが多くなると思います。

市民運動は本来そう言うもので、みんなで手分けをしてモグラ一匹一匹の動きを観察して、情報交換や意見交換しながら、モグラの動きを予測しながら、モグラの動きに影響を与えていくものだと思います。

しかし現状では、それがあまりできてないように思います。一つには裾野が狭く、支援が少ないからではないかと思います。

もう一つには、気になるモグラを専門的に追いかけるよりも、地表だけを眺めてモグラ叩きすることを好む人が多いからかもしれません。言い換えると、日本では specialist になるよりも、generalist になることを好む人が多いのかもしれません。社会的にも、specialist よりも generalist の方が高く評価される傾向にあるのではないかと思います。本来どちらも必要な人材だと思いますが、specialist の人数が圧倒的に少ないのではないかと思います。


(3)ハリボテ

社会の様々な問題はつながっているんじゃないかと思います。専門家が軽視されて、ハリボテが高く評価される社会になっているとしたら…、とても危険な状態だと思います。 (例えば、テレビのコメンテーターも、専門分野以外は慎重にノーコメントを連発する人よりも、どんな話題でも自信たっぷりにコメントする知ったかぶりの人の方が高く評価されるような印象を持っています)

また、日本での議論は「誰が正しいか」という視点でなされがちですが、実効力を持つためには「何が正しいか」という視点で議論がなされるべきだと思います。排他的な縄張り争いは分裂を生み出すだけで、建設的ではないかと思います。

困難な時期こそ、名より実を取るべきだと思います。