法楽日記

デジタル散策記&マインド探訪記

吉田沙由里(著)「小さな国の大きな奇跡〜キューバ人が心豊かに暮らす理由〜」

平成20年(2008年)5月に出版された吉田沙由里(著)「小さな国の大きな奇跡〜キューバ人が心豊かに暮らす理由〜」を読みました。著者は「NPO法人アテナ・ジャパン」の代表で、キューバで暮らし、キューバ人と結婚された方です。本書には、キューバとの出会い、キューバの暮らし、キューバの歴史、米国との関係、社会と文化、医療と国際貢献などについて、著者の体験に基づいて記されています。とても興味深く読みました。

キューバというと、資本主義対社会主義、米国対キューバなどの文脈で語られることが多いかもしれません。しかしキューバの一番の特徴は、社会制度でも大資本家との関係でも超大国との関係でもなく、人々の価値観や生き方にあるのだと思いました。1959年に独裁政権を倒したあと、オープンでフラットな社会、助け合う社会を目指した結果として、当時の国際情勢の中では米国と対立することになり、また社会主義体制を選ぶことになったのだろうと思います。

この本を読んで、国家形態や社会形態のような『外形』よりも、住民の考え方や生き方といった『内面』の方が、国のあり方を決める大きな要因になっているんだなと思いました。キューバの人々の人生観や世界観が素敵だからこそ、決して豊かとは言えない国内事情にありながらも医療分野において大きな国際貢献を続けているのだろうと思います。

また、将来世界が経験するであろう難題をキューバは世界に先んじてたくさん経験して工夫を積み重ねて乗り越えてきました。キューバには未来へのヒントがたくさん詰まっているのではないかと思いました。

下記記事によると著者はキューバの首都ハバナでお子様を育てながらクレープ店を営んでいるそうです。今後もキューバ情報を発信し続けられることと思います。続刊が楽しみです。