法楽日記

デジタル散策記&マインド探訪記

デイヴィッド・イーグルマン(著)「あなたの脳のはなし:神経科学者が解き明かす意識の謎」

デイヴィッド・イーグルマン(著)「あなたの脳のはなし:神経科学者が解き明かす意識の謎」を読みました。2015年から2016年にかけて米英豪で6回シリーズで放送されたテレビ番組を書籍化した本だそうです。全6章からなり、最新の脳科学の研究成果が一般向けに解説されています。

この本を読んで、脳は意外と柔軟なことを知りました。視覚を失った人の舌や皮膚に平面状の刺激装置を貼り付けて、電気刺激や触覚刺激を用いて二次元情報を連続的に与え続けると、やがて脳はその刺激を視覚のように解釈して、視覚を取り戻したかのような感覚を得ることができるそうです。また、腕を失った人の脳に電極を埋め込んで電動義手と接続してしばらく練習すると、義手が自由自在に使えるようになるそうです。脳の機能は固定的ではないことを示していて面白いと思いました。

また、人体の五感からの刺激は、伝達時間や脳内処理時間が随分異なるため、脳内で同期処理が取られているそうです。そのため、人間は外界をリアルタイムで認識しているのではなく、若干タイムラグを伴った状態で認識しているそうです。

以下は感想ですが、脳の働きのうちで『意識』が認識できるのはほんの一部だと思うので、『意識』から見ると人体の大部分は自動運転されているようなものではないかと思います。『意識』が命令できるのは大方針だけなのかもしれません。実は思考ですら『意識』で細かくコントロールするのはとても難しくて、余計な雑念がすぐに湧いてきます。

逆に人体から見ると『意識』は単なる居候なんじゃないか。居候のくせに態度がデカくて人体さんは付き合い方に困っているのではないか。『意識』はもっと謙虚に生きるべきではないのか。人体さんと協調して上手に役割分担して生きるべきなんじゃなかろうか。そんなことを思いました。