法楽日記

デジタル散策記&マインド探訪記

スティーヴ・ロー(著)「データサイエンティストが創る未来」

スティーヴ・ロー(著)「データサイエンティストが創る未来」を読みました。無数の測定器やカメラやレポート等から生成される大量のデータ(ビッグ・データ)を元に機械学習数値計算等を行って、制御や予測等の精度を大幅に向上させるための技術開発が急速に進展しているそうです。この本では著名なデータ・サイエンティストたちの成果や経歴が詳しく紹介されていました。著者は米国ニューヨーク・タイムズ紙の記者だそうです。


以下、感想です。

データ・サイエンスは、人間の認識能力に収まらないほど複雑になった『サイエンス』を、機械の力を借りて実用可能な範囲内に収めることを目的とした技術ではないかと思いました。言い換えると、複雑になってしまった『サイエンス』をさらに複雑にすることを許すための技術であり、現在の『サイエンス』の延命処置ではないかという印象を受けました。

果たしてそれは正しい方向性なのか、単に枝葉に目を奪われているだけではないのか、それよりも『サイエンス』の全体像をシンプルにする方向性を持った研究の方が重要ではないのか、と思いました。

また、人々の言動を元にデータを生成する場合、その解釈は大変難しいのではないかと思いました。例えば、噂話が事実と大きく異なっていることはよくあることですし、裏表が大きく異なっている人もよくいますし、普段の文章でも勘違い・記憶違い・書き間違いなどはよく見られるのではないかと思います。そのような場合にも事実と虚偽をきちんと見分けることができないと、本人の知らないところで事実無根の評価が個人情報として売買されて、不利益や不当利益の原因となりかねないのではないかと思いました。誤情報の割合を実質的にゼロにできないと、将来的に大きな社会問題に発展するのではないかと思いました。

データ・サイエンスは生まれて間もない分野なので、夢を語り合いながら得手不得手を探っている段階なのかもしれません。大きな設備投資・開発投資・維持管理費が必要な分野だと思いますので、巨額資金が動く分野(例えば政府・大企業・投資機関・富裕層向け、あるいは高額機械)でないと生き残るのは難しいのではないかと思いました。