法楽日記

デジタル散策記&マインド探訪記

なんば走りは重力アシスト走法?

(1)飛脚の走り方

本を読んでいたら、久しぶりに「なんば走り」という言葉を見かけました。

江戸時代の飛脚の走り方で、現代的な走り方とは異なる走法だったそうです。


(2)現代的な走り方

現代的な走り方は、右脚を前に出すときは左腕を前に出し、左脚を前に出すときは右腕を前に出します。

これは私の勝手解釈ですが、体軸の捻りを強く意識しているからではないかと思います。

例えば右脚を前に出すときは、体軸に対して腰が左回り(反時計回り)に振れます。回転力のバランスを取るためには、体軸に対して肩を右回り(時計回り)に振らせる必要があるので、左腕を前に出します。

同様に、左脚を前に出すときは、体軸に対して腰が右回り(時計回り)に振れます。回転力のバランスを取るためには、体軸に対して肩を右左回り(反時計回り)に振らせる必要があるので、右腕を前に出します。

このように、腰と肩とで回転力を打ち消し合うことで体軸を安定させながら、脚力を使って体軸を前へ前へと進めているのではないかと思います。


(3)なんば走り

ところが、「なんば走り」では、右脚を前に出すときは右腕を前に出し、左脚を前に出すときは左腕を前に出すそうです。結果的にそのような動きになる走り方をしていたらしいということが伝わっているだけで、実際に身体をどのように使っていたのかは今となってはわからないそうです。

私は運動音痴なので、この件に関しては寝言しか言えませんが(笑)、おそらくは、「なんば走り」では体幹を前方に落下させながら走っているのではないかと思います。

身体を前傾させると、重力によって前方に倒れる力が働きます。転倒を防ぐためには、どちらかの脚を前に出さないといけません。倒れる力を失わないように片脚を前に出すと、重心が前方に移動します。それでも身体を前傾させたままにしていると、重力によって前方に倒れる力が働き続けます。転倒を防ぐためには、もう片方の脚を前に出さないといけません。このときも倒れる力を失わないように脚を前に出すと、再び重心が前方に移動します。

このように、重力を利用しながら(言い換えると位置エネルギーを利用しながら)走っていたのではないかと思います。喩えるなら、「電動アシスト自転車」ならぬ「重力アシスト走法」だったのではないかと思います。重力と脚力の比率がどのくらいだったのかは、今の私にはわかりませんが…


(4)腕は振り子

このような走り方をしていると、肩を回転させたり腕を振ったりする必要はありません。そこで肩や腕の力を抜いて走っていると、両腕は振り子と同じような状態になって、自然に腕が前後に揺れるのではないかと思います。やがて脚の動きと腕の揺れ方が同期してくるのではないかと思います。

その結果、右脚と右腕が同時に前に出たり、左脚と左腕が同時に前にでたりを繰り返すことが多かったのではないかと思います。走り方によっては、右脚と左腕が同時に前に出たり、左脚と右腕が同時に前にでたりを繰り返すこともあったかもしれません。

このとき、腕が前後に振れると、遠心力が働いて指先に血液が集まるようになります。指先を守るためには、肘を曲げて走った方が楽です。肘を曲げておくための最低限の力さえ入れればよいので、腕に若干の力は入るものの、肩の力は抜いたままで大丈夫ではないかと思います。したがって、この場合も腕は振り子状態にできるのではないかと思います。


(5)歩きで試行

そのような走り方が実際にできるのかどうか、できることなら検証したいところです。その際、どのくらいの速度で走れるのか、現代的な走り方と比べてどのくらい楽なのかについても検証したいところです。しかし、残念ながら私の身体は健康面に問題がありすぎて、「走る」ことは難度の高い行為です…

そこで、「走り」の代わりに「歩き」で検証しようとしたことがあります。

そのときは、慣れればそのような歩き方はできそうに思いました。ただし、「歩き」の速度では、前傾具合はほんのわずかでよいので、傍目には前傾しているかどうかわからないくらいだったかもしれません。また、「歩き」の速度では、脚と腕は同期して動くこともあれば、バラバラに動くこともありました。

いつの日か「走り」で検証できるようになりたいです。


(6)飛脚の場合

ここまで書いて、ようやく気がついたことがあります(笑)

飛脚は肩に棒を担ぎながら走っているので、棒や荷物があまれブレないように、肩や腕に多少の力を入れる必要があったのではないかと思います。力の入れ具合は微妙であったとしても、両腕は完全な振り子状態ではなかった可能性が高いように思います。

したがって、考察するときは飛脚が荷物を担いで走っているのと同じ状態を想定しないといけません。また、検証するときは飛脚と同じものを担いで飛脚と同じ速度で走らないといけません。どうやら、現実的な考察や検証をするためには、クリアしなくてはいけないハードルがたくさんありそうです(笑)

以上、勝手解釈の机上の空論でした…