法楽日記

デジタル散策記&マインド探訪記

怒りの神様

(1)力は正義

「力は正義なり」は古代ギリシア由来のことわざだそうです。

日本では「勝てば官軍、負ければ賊軍」と同じような意味で使われているようです。すなわち「実際の正邪に関係なく、勝ったものが正義を名乗ることができる」です。

しかし聞くところによると、欧米では「善悪の戦いにおいては、神様は善に力を与える」という意味に理解されているそうです。すなわち、「勝者こそが、神様が選んだ善である」となります。欧米諸国が世界各地で戦争を起こしたり、経済活動で自由競争を重視するのも、もしかしたら欧米流の「力は正義なり」の考え方がベースにあるのかもしれません。

(追記:大変申し訳ありません、裏取りできないので→ “Might makes right” 、この話は冗談だった可能性が高いです)


(2)怒りは正義

さて、日本では「怒り」が神聖視されているという印象を持っています。

市民運動では「怒り」が大きいほど正当性が高くなり、目標実現の可能性も高くなると考えられているようです。個人の主張でも「怒り」の大きさが正当性につながり、賛同者が増えると考えられているようです。

日本では「怒り」の神様という、神社も偶像も名前も持たない神様への信仰心がとても篤いのではないかと思うことがあります。「正邪の戦いにおいては、怒りの神様は正義の陣営に対してより強い怒りを与える」と考えられているのかもしれません。


(3)「怒り」の思い出

しかし残念ながら、私は「怒り」によい思い出がありません。私が体験したことの中から「怒り」を前面に押し出した人たちの言動を思い出してみると、、

まずは、いわゆる脅迫が挙げられます。理解不能なことを怒鳴り散らしながら、全身で「怒り」を表現してました。憤怒の形相で、体を左右に揺すりながら、腕も大きく動かしながら、時々大きく足を踏み鳴らしてました。彼らにしてみれば、「怒り」の神様の依り代となることで正当性を表現していたのかもしれません。あるいは、「怒り」の神様の霊験にすがって願望実現しようとしていたのかもしれません。そのため、彼らは一種の神楽を舞っていたのかもしれません。しかし、私には駄々っ子が駄々をこねてるようにしか見えませんでした。そして結局、彼らの脈絡のない主張には同意できませんでした(もしかしたら、私は共感力の低い冷たい人間だからかもしれません)。

また別の体験としては、自分の主張の正当性を高めるために、威張ったり怒ったりしながら話す人たちがいました。経験的にそのような人たちの発言を鵜呑みにすると痛い目にあうので、私は必ず裏取りするようにしてました。たいがい実態と大きく異なるので(よくて針小棒大なので)、面白いものだなと思っておりました。(ああやって自分に都合のよい噂話を広めているのかもしれません)

幸か不幸かそのような体験を重ねているので、私の中での「怒り」の神様に対する評価はあまり高くありません。大変失礼ながら、「窮鼠猫を噛む」心境にある人が、「溺れる者は藁をも掴む」ような気持ちで、「怒り」の神様にすがっているのではないか… そんな印象を抱いています。


(4)「怒り」の原因

私はこれまでの経験から、怒りの感情が湧き上がってくるのは、(1)相手の中に自分の嫌いなところを見たとき、(2)自分の思い込み(妄想世界)が攻撃されたと思ったとき、の2つのパターンがあると考えています。そのため、自己否定の心が強い人ほど、怒りは大きくて頻繁に起きると考えています。

そのように考えているため、私の中で「怒り」の大きさと主張の正当性を結びつけることができないでいます。むしろ「怒り」を起こさず、冷静に行動した方がよい結果に結びつくのではないかと考えてしまいます。

このように考えるのは、おそらく、私はインド発祥の考え方(仏教を含めたインド哲学)に大きな影響を受けているからではないかと思います。例えば、私はアヒンサー(非暴力)を大切にしているので、「怒り」の神様にすがることはできません。


(5)「怒り」の神様

しかし日本には、「怒り」の神様への信仰心が篤い人が多いので、「怒り」を前面に押し出した方が物事が進みやすいのかもしれません。「怒り」の神様にすがった方が、納得する人も支援する人も多くなり、ご利益もとても大きいのかもしれません。だからこそ、日本では「怒り」の神様への信仰心はとても篤いのではないかと思います。

しかし中には、「怒り」の神様の霊験を悪用している人たちもいるようです。これは黒魔術に相当する行為で、排撃すべきと考えられているのかもしれません。逆に白魔術が奨励されているのかもしれません。

私は常識に疎く、ついつい身勝手な発想をしてしまいます。「怒り」の神様への信仰心を含めて、世間の慣習や一人一人の気持ちを大切にできる人にならねば、と思いました。