藤山浩(著)『「地域人口ビジョン」をつくる』を読みました。
2014年(平成26年)、自治体の消滅可能性が話題となりました。日本創成会議の推計によると、2040年には約半数の市区町村が消滅可能性都市に該当するようになるとのことで、当時は大変な反響を呼びました。そして翌年、全国の自治体が地方人口ビジョンと地方版総合戦略を策定するに至りました。
ところが、この本が出版された2018年(平成30年)末の時点では、離島や山間部で若い女性が増えている地域があちこちで見られるそうです。著者はこれを「縁辺革命」と呼んでいるそうです。
それでは、どのような地域で「縁辺革命」が起きているのでしょうか?あるいは、どうすれば「縁辺革命」を起こすことができるのでしょうか?また、どうすれば子ども人口の安定化を図れるでしょうか?この本では、それを考えるための方法論が紹介されてました。
まず、地域の人口構成を手軽に予測できるツールとして、「コーホート変化率法」が紹介されていました。次に、全国の市区町村の人口推移の現状と将来予測が色分け地図で掲載されていました。さらに、介護費用の推計手法が紹介されていました。ただし、この本の予測結果を鵜呑みにするよりも、予測手法の長所・短所を理解した上で予測結果を参考値として見る方が、よいのではないかと思いました。
そういった現状や予測を踏まえた上で、「縁辺革命」のケーススタディとして、自治体の取り組み例、地域の取り組み例、著者らによる分析例が紹介されていました。この本は実践家のための本だと思いました。(すみません、私は流し読みでした)
著者は「田園回帰1%戦略」を提案されている方です。著者によると、過疎市町村の9割は、毎年1%未満の定住増加で子ども人口の安定化を達成できるとのことです。それを実現すべく活動されてます。
- 藤山浩(著)「「地域人口ビジョン」をつくる (図解でわかる田園回帰1%戦略)」 (農山漁村文化協会, 2018-12-06)
- 一般社団法人 持続可能な地域社会総合研究所
- 日本創成会議
- 国立社会保障・人口問題研究所