法楽日記

デジタル散策記&マインド探訪記

多田朋孔(著)「奇跡の集落 - 廃村寸前「限界集落」からの再生」

多田朋孔(著)「奇跡の集落」を読みました。

前半は、新潟県十日町市の飛渡(とびたり)地区の山里「池谷集落」の再生の記録です。池谷集落には、1960年(昭和35年)には37世帯211名が住んでいたそうです。しかし次第に人口が減り、2004年10月23日の中越地震を経て6世帯13名となり、一時は廃村を覚悟したそうです。

ところが、震災復興ボランティアが定期的に来るようになってから集落の様子が変わり、やがて活動的な若者が移住してくるようになり、2018年11月時点(この本の出版時点)では11世帯23名と倍近くにまで増えて、「奇跡の集落」とも呼ばれるようになったそうです。

この本には集落再生の過程が分かりやすい文章で描かれてました。集落再生に向けて十分な基礎固めを行ったからこそ、機が熟してからは一気に飛躍したのではないかと思いました。

後半は、限界集落再生のポイントがまとめられてました。池谷集落を中心に、各地の地域おこしに関わってきた著者ならではのノウハウ集だと思います。


地域おこしと言うと、ついつい対象地域の発展ばかり考えてしまいそうになります。例えば、地域の良いところを伸ばしたり、宣伝したり…

しかし、少し異なるアプローチもあるようです。

まずは地球の未来、日本の未来について考える。それから自分たちの地域の未来について考える。すると地球の未来と地域の未来がつながります。そうやって心に思い描いた未来の地球の姿を、自分たちの地域から作っていく。その過程を全国、全世界に向けて発信する。すると賛同者が集まって来ます。最初は「関係人口」として。やがて移住者として。

未来の地球の姿が、『未来少年コナン』で言うインダストリアなのか、それともハイハーバーなのか、具体的にどんな姿なのか、それは人それぞれ、地域それぞれだと思います。

「Think globally, Act locally.」を実践することが、持続的な地域おこしに繋がるのではないか。この本を読んで、そんなことを思いました。