野島博之(著)「ストーリーで学び直す大人の日本史講義」を読みました。予備校の人気「日本史」講師・野島博之さんによる日本史講義です。
歴史研究は、文献や伝承や地理やモノなどを徹底的に調べることを通して、その背景となる物語を鮮やかに立ち上がらせていく行為ではないかと思っています。そのため、歴史研究を通して立ち上がってくる物語は、研究者によって様々なバリエーションがあって当然だと思います。沢山の研究者が立ち上げた様々な物語の中で、大筋で共通する部分が定説となっていくのではないかと思います。
しかし、中高生向けの歴史教育や、一般向けの歴史書においては、歴史的事実の積み上げから歴史物語を読み解いていったり、定説学習の積み重ねから歴史物語を読み解いていったりするのは大変なのかもしれません。それよりも、定説をベースに書き上げられたシンプルな物語を通して歴史的事実・定説を大掴みに学んで行くというスタイルの方が、最初は分かりやすいんだろうなと思いました。
しかしいずれは、事実を積み上げて物語を立ち上げる練習をした方がよいだろうと思います。最初のうちは間違いだらけでもまったく問題ないと思います。何度も何度も繰り返すうちに、数多の歴史学者よりも事実に近い物語を立ち上げる能力が開花していくことと思います。
