法楽日記

デジタル散策記&マインド探訪記

石見徹(著)「『幸福な日本』の経済学」

石見徹(著)「『幸福な日本』の経済学」を読みました。著者は経済学者で東京大学名誉教授とのことです。現代の日本の状況について経済学者の視点で書かれてました。

経済学の全くの素人の感想ですが、ひょっとしたら、、現代の経済学の知見では現代の日本の有り様を説明することができないのではないか、あるいは現代の経済学の観察力では現代の日本の有り様を捉えることができないのではないか…。そのため適切な分析ができず、有効な施策も提案できず、「失われた30年」のような傍観者的表現を使わざるを得ないのではないか…。そんなことを思いました。

医療の世界には「ホリスティック医学 (Holistic Medicine)」、教育の世界には「ホリスティック教育 (Holistic Edcation)」という言葉があるそうです。国家運営においても「ホリスティック国家運営 (holistic governance)」のような観点が必要なのではないかと思いました。国家運営を考える際に、省庁や学者のように分野ごとの縦割りで考えるのではなく、財政も施策も現実社会も世界状況も何もかも取り込んで統合的に捉えて、さらには様々な階層の様々な立場の人々の視点も十全に取り入れて、住民本位の議論が必要なのではないかと思いました。

かつての日本では「弱きを助け強きを挫く」が美徳とされていました。弱者視点の正義を、強者視点の正義よりも優先することで、社会全体のバランスを上手に取っていたのではないかと思います。しかし今や逆に「強きを助け弱きを挫く」ことが躊躇なく行われる世の中になってしまい、あらゆる功績が強い立場にある人の手元に集まり、あらゆる『しわ寄せ』が立場の弱い人に押し付けられてしまっているように思います。弱者も強者も等しく尊厳を有する社会を実現するにはどうすれば良いか?これは制度設計だけでは解決できない問題ではないかと思います。

幸福な日本を実現するためには、政治、経済、社会、倫理、そのほか様々な観点から議論を積み重ねると同時に、世界全体を統合的に捉える必要があると思います。地球全体の様相をホリスティックに見据えた上で、国について、地域について、そして様々な分野について、考えていきたいと思いました。