法楽日記

デジタル散策記&マインド探訪記

「俺様はエライんだぞ病」は組織の弱点を突く

今夜は別のテーマで書きたかったのですが、なんだか「俺様はエライんだぞ病」の人たちが気になって仕方がないので、再びこのテーマで書きます。(幸か不幸か、これまでに事例をいくつか見ているので、特徴を一般化して書いてます)


(1)俺様はエライ

彼らはなぜだか「俺様はエライ」と思いたい人たちです。

私の印象では、彼らの心の奥底には強烈な自己否定の思いが潜んでいるのではないかと思います。あまりに強烈なので、どうしてもその思いを認めたくない。そこで「俺様はエライ」と思い込むことで、心のバランスを取っているのではないかと思います。そして、「俺様はエライ、あいつらはバカだ」というストーリーを、いつも心の中に思い描いているのではないかと思います。

しかし、誰よりも圧倒的にエライ、というストーリーを思い描くことは現実的ではありません。そこで身の回りの人たちを品定めして、「俺より上、俺と同じ、俺より下」と分類しているのではないかと思います。そして、「俺より上」の人の前では良い子ちゃん、「俺と同じ」人の前では良き仲間を装い、「俺より下」の人は徹底的に見下す。そうやって生きているのではないかと思います。

その結果、彼らは次のような特徴を持つようになったのではないかと思います→ (1)人事権・予算権を握っている人たちの前では良い子ちゃんとして振る舞う、(2)仲間の前では態度はでかいけど良き仲間であろうとする。その一方で、スキあらばマウントを取ろうとする、(3)目下の人たちの前ではエラそうに振る舞う、(4)見下している人たちの前では横暴に振る舞う。


(2)顛倒夢想

彼らは「俺様はエライ」と思い込んでいるだけなので、実際にはそんなにはエラくありません(そんなに能力は高くありません)。

例えば、「俺様はエライ」と思い込むことで満足しているので、勉強や練習をするにしても真剣さが足りません。そのため知識は古くて、理解は表面的で、間違いも多いです。実務能力もそんなに高くはありません。(彼らの思い込みと現実の間には大きなギャップがあります、流石にそこそこ得意な分野はあるようです)

しかし、どうしても「俺様はエライ」と思い込みたいので、自分の知らないことを知っている人や、自分にできないことを軽々とやってしまう人を見ると、なんとかして見下したいようなのです。そこで、「あいつらはデタラメだ、本当はバカだ」というストーリーを心の中に思い描くようなのです。その結果、真剣に勉強したり練習したりしている人たちがデタラメに見えて、バカ者に見えて、腹が立って仕方がないようなのです。(これは、心の奥底に潜む自己否定の思いを刺激された結果だと思います)

その怒りが溜まりに溜まって、何かをきっかけに噴火してしまうようです。そして、日頃から懇意にしている人事権・予算権を握っている人たちに対して、その怒りをぶちまけるようなのです。


(3)天地逆転

人間は面白いもので、日頃から良い子ちゃんにしている人が、ある日突然怒りをぶちまけると、義憤にかられていると思ってしまうようなのです。そして「これは一大事だ」と思って対策を取るようなのです。

その結果、彼らは突然「出世」します。その代わり、真剣に取り組んでいる人が、ある日突然「悪者」にされてしまいます。いきなり四面楚歌になって、誰もろくに口を聞いてくれなくなります。しかし誰も理由を教えてくれません。どうやら彼らは、当人の知らないところで悪口をふりまいて回っているようです。彼らの能力では当人との議論に耐えられないことが、心の奥底ではわかっているからかもしれません。

彼らの計画や行動は、失礼ながら質の悪いものばかりです。問題が山ほど発生します。そのため、能力の高い人たちが火消しに走らざるをえなくなります。しかし彼らは「俺様はエライ」と思い込んでいるので、「あいつらが足を引っ張って計画を台無しにした」と思い込んで腹を立てるようなのです。そして、火消しをした人たちが「悪者」にされて冷遇されてしまいます。

やがて一定以上の能力を持つ人たちがみんな冷遇されて、彼らに従順な人たちだけが目をかけられるようになります。言うなれば、組織内の力関係を読む能力に長けた人だけが生き残れる構図ではないかと思います。そしてたくさんの人生が破壊されてしまいます。客観的に見ると、とても不幸な状態だと思います。


(4)若気のいたり

人生の一時期、「俺様はエライ」と思いたくなる気持ちを、私は否定しません。それで心のバランスが取れるなら、そう思っていればよいと思います。

ただし、本来なら「若気のいたり」で終わるべきものだと思います。周りの人たちから煙たがられながらも、あれこれ頑張ってみて、いつの日か「あっ、やっぱり俺、バカだった。でも、もうどっちでもいいや。俺は俺だから。」と思い直せばよいと思います。

人と比べることに興味をなくせば、世のため人のための勉強や練習に真剣味が出て、能力がぐんぐん伸びていくかもしれません。そうなったら、若き日の笑い話として宴会での鉄板ネタにする心の余裕も出てくると思います。


(5)組織の弱点

ところが、、なぜだか彼らの思い込みを裏取りすることなく事実だと誤認する人たちがたくさんいるようなのです。

日頃から良い子ちゃんにしている人が、ある日突然義憤(?)にかられて訴えてくると、裏取りすることなく信じてしまうのかもしれません。(親分子分主義な組織の弱点だと思います)

あるいは、人事権・予算権を握っている人たちのお気に入りが「虎の威を借る狐」に見えて、彼らの言うことを鵜呑みにせざるを得ないのかもしれません。(上意下達主義・信賞必罰主義の組織の弱点だと思います)

問題はここにあると思います。


(6)老婆心のいたり

これまでに書いたような事例が世の中にどのくらいいるのかは、私にはわかりません。私がたまたま極端な例をいくつも見てきただけなのかもしれませんし、あるいは世の中には同じようなタイプの人がたくさんいるのかもしれません。

仮に後者だとすると、産業界にも、行政界にも、政界にも、学術界にも、その他あらゆる分野にも、同じようなタイプの人たちがいるのかもしれません。そして組織や業界を牛耳っているかもしれません。さらには、気脈の通じる各界の人たちと結託しているかもしれません。

仮に日本全体がそのような状況にあるとしたら、、非常事態に対して適切な処置を取ることができるでしょうか…

あるいは、平常時に適切な采配を取ることかできるでしょうか…

責任ある立場にある人たちが、当たり前のことを当たり前にできることは、非常時にも平常時にもとても大切なことだと思います。その原則すら実行できないくらいに、あちこちの組織が歪んでしまっているとしたら…

この心配が「老婆心のいたり」でありますように…


(7)抜苦与楽

最後になりましたが、私はまさに罪悪深重・煩悩熾盛な人間ですので、彼らを非難できる立場にはありませんし、非難するつもりもありません。もしかしたら私自身も彼らと同列かもしれませんし…。ただただ、彼らが苦しみから解放されて、幸せな人生を送ることを心より祈るばかりです。

(私が知っている事例は男性ばかりなので「俺様」という言葉を使ってますが、もしも女性にもいらっしゃいましたら誠に申し訳ありません)