法楽日記

デジタル散策記&マインド探訪記

東京マラソン2020の参加料が返金されない理由

3/1(日) の「東京マラソン2020」はエリート選手のみで開催されることになったそうです。参加できなくなった一般ランナー約3万8000人の参加料(国内1万6200円、海外1万8200円)は返金されないそうです。

一般の部の中止自体はよいことだと思うのですが、参加料を一円たりとも返金しなくてよいものなのか。主催者判断の中止なのですから、この金額を東京マラソン財団に代わって東京都が負担することは東京都議会も認めるのではないかと思います。そこを敢えて入場料を返金しない判断をしたのはなぜか。なぜこのような前例を作ろうとしたのか。マラソンの門外漢には不可思議な判断に見えるので、東京都議会で究明されることを期待しています。

下記資料によると、『東京マラソン2020については、マラソンのエリート及び車いすエリートの部のみを開催することといたします。』『東京マラソン2020の参加料及びチャリティ寄付金は返金いたしません(募集要項のエントリー規約に基づきます)。』とのことです。

下記資料の「エントリー規約」によると『13. 積雪、大雨による増水、強風による建物等の損壊の発生、落雷や竜巻、コース周辺の建物から火災発生等によりコースが通行不能になった結果の中止の場合、関係当局より中止要請を受けた場合、日本国内における地震による中止の場合、Jアラート発令による中止の場合(戦争・テロを除く)は、参加料のみ返金いたします。なお、それ以外の大会中止の場合、返金はいたしません。』とのことです。

以下、東京マラソンについてです。


私は法令や契約の専門家ではありませんが、、

本来なら「大会規約」に中止判断に関する規定、すなわちどのような場合に大会中心を判断するか、が定められているべきではないかと思います。その規定に付随して、参加料返金基準も定められているべきだと思います。

ところが現状では「エントリー規約」に大会中止になった際の返金の規定が書かれているのみです。なんと大会中止の判断基準はどこにも書かれていません。今回、主催者は規約に定められてない判断基準で大会中止を宣言したことになります(はたして規約上許されるのか?)。一方で、返金規定に列挙されてない理由による大会中止の場合は、参加料を返金しないことが定められています。

その結果主催者は、大会規定に定められていない判断基準と手続きで大会中止を宣言したにも関わらず、大会中止の大義名分が返金規定に該当しないことを理由に参加料を返金しないと宣言しています。

これはどこかに問題があるのではないかと思います。

また、2/16(日) の新型コロナウィルス感染症専門家会議の第一回会合終了後の加藤厚労相と脇田座長の会見で「不要不急の外出を控えるように」と呼びかけがあった翌日 2/17(月) に東京マラソン2020の中止が発表されたのですから、時間順序を考えると「エントリー規約13」の「関係当局より中止要請を受けた場合」に該当すると見なすことができると思います(厚生労働省からの直接の要請ではなくても、広く呼び掛けられたことに応えたのですから、要請を受けたとみなされうるのではないかと思います)。あるいは密室で東京都からの要請があった可能性も考えられるので、きちんとした検証が必要だと思います。

当局からの要請があったとみなせる場合は、現状の「エントリー規約」の規定でも返金が必要となります。

東京マラソン2020大会中止の経緯、参加料を返金しないという判断の経緯は、東京都議会、もしくは集団訴訟などを通して明らかにしていく必要があると思います。


下記の東京マラソンの参加料は返金しなくて当然とする意見を読んでみたところ、どうやら「参加料」の「参加」という言葉の捉え方に鍵があるようです。

私のようにマラソンの門外漢は、「参加料」とは大会当日にマラソンに出場する権利に対する費用である、と思ってしまいがちです。そのため、主催者判断で中止にした場合は「参加料」は返金するのが当たり前で、主催者は資金繰りに走り回るべきである、と思ってしまいます。言い換えると、「参加者は顧客」という感覚です。(東京マラソン財団は東京都がバックにいるので尚更そのように思ってしまうのだと思います)

しかし、マラソン大会の主催者の感覚では、「参加料」とは大会開催のための出資金であり、無事開催できた場合には出資者特権として出走できる、となるようです。言い換えると「参加料」は大会運営に出資者として参加するための費用であり、「参加者は出資者」という感覚のようです。(あくまで、下記記事を読んだ私の理解です、この記事では出資者という言葉はまったく使っていません)

下記は、東京マラソン財団による説明です。『都民の皆様をはじめ、様々な方面の方々から東京マラソンの参加料に関するお問い合わ せを多数いただいている状況です。つきましては、参加料について以下のとおりお知らせいたします。』とのことです。この説明も「エントリー規約第13項」の背景となる考え方を説明していないと思います。


私の中には、まだ疑問は残っています。

  • 参加者は顧客か出資者か?
  • 仮に出資者とした場合、大会の決行・中止に関われないのか?
  • せめて大会中止を判断した会議の議事録を公開すべきではないのか?
  • 当局からの中止要請は本当になかったのか?
  • 東京都が率先して返金に向けて資金投入できないのか?