法楽日記

デジタル散策記&マインド探訪記

京都国立博物館(編)「美を伝える―京都国立博物館文化財保存修理所の現場から」

京都国立博物館の敷地内に文化財保存修理所が昭和55年(1980年)春に設立されてからちょうど30年目の節目に当たる平成22年(2010年)5月に、文化財保存修理所の活動と文化財保存修理の重要性を伝えるためにシンポジウム「美を伝える」が開催されたそうです。

このシンポジウムのまとめとして編纂されたのが、京都国立博物館(編)「美を伝える―京都国立博物館文化財保存修理所の現場から」だそうです。

第1部「美の修理」では、文化財15点の修理と、文化財3点の模造・模写の様子が紹介されていました。そして第2部「修理とは何か」では修理の考え方、第3部「材料と技術」では修理に必要な材料・道具・技術が紹介されていました。

この本を読んで、文化財の保存修理は、優秀な職人、適切な材料、優れた道具、精密な技術、地道な研究が揃ってはじめて実施できるんだなと思いました。そして、的確な保存修理作業が適切に繰り返されてこそ、何百年、さらには千数百年の時を超えて伝えていくことができるんだなと思いました。例えるなら世代を超えた駅伝のようなものなのかもしれません。

きっと同じことが伝統芸能についても言えるんだろうと思います。

有形無形に関わらず伝統を後世に伝えていくためには、伝統を支える文化の厚みも同時に伝えていく必要があるんだなと思いました。