法楽日記

デジタル散策記&マインド探訪記

ウルトラマンが語る近現代日本人の精神構造

子供の頃に見たウルトラマン・シリーズの中で、子供心にとても印象的だったのは、地球防衛軍(?)側は、必ず怪獣の弱点を狙おうとすることでした。それがどうにも衝撃的でした…

ウルトラマン・シリーズはある意味でワンパターンでした。怪獣や宇宙人を悪者と見なして、人間は彼らの弱点を狙って失敗して、最後はウルトラマン頼み。人間は失敗を本質的に反省することはなく、本質的な対策を立てることもなく、まったく同じパターンを繰り返す。ひょっとしたら、怪獣や宇宙人に挑むことに意義があるのであって、倒すことは二の次だ、と思っていたのかもしれません。

当時はちょっと不思議でしたが、今から思うと、ウルトラマンは近代日本の典型的な行動パターンをなぞっていたのではないかとも思えてきます。

すなわち「誰かを巨悪に仕立てて、憤りだけで突っ走って失敗して、最後は一発逆転狙いのカミカゼ頼み。これを無反省に繰り返す。」

このような行動パターンが世代から世代へと受け継がれているのではないか。そんな風に思えてきました。

そのため『巨悪』に仕立て上げられた物事や人物は徹底的に叩かれて、逆に『神風』に仕立て上げられた物事や人物は思い切り持ち上げられる。ところが『巨悪』が『巨悪』でないと分かったり、『神風』が『神風』でないと分かった途端に、すべてがなかったことにされてしまう…。こんなパターンが無反省に繰り返されているのではないか。近現代史を思い出すにつれ、昨今の報道を見るにつれ、そんな風に思えてくるのでした。

ウルトラマンが語る近現代日本人の精神構造』みたいな本が書けるかもしれません(笑)