法楽日記

デジタル散策記&マインド探訪記

転ばぬ先の杖

(1)話を聞く前に判断できるアドバイス

私は後遺症のため、脳の回転力が平均よりかなり遅いです。若干ながら瞬発力はあるので、5〜10分程度であれば、なんとか周りの人たちに合わせることができます。しかし持続力がないので、それなりの作業量をこなそうと思ったら、ゆっくり休み休み進めるしかありません。感覚的には、発症前の10倍くらい時間がかかると思っておくと、おおよその作業時間を見積もることができるように思います。

また、脳の回転力が不足しているので、おしゃべりや打合せのように「聞きながら、考えながら、話しながら…」と複数のタスクを同時にこなすことは、私にとっては簡単なことではありません。

そのため、例えば「業者さんと話をするときは、こんな場合はこんな風に対処して…」とノウハウを教えてもらったとしても、それを実行することは私にとっては簡単なことではありません。相手の話をそこそこ理解するだけで精一杯で、「聞きながら、考えながら…」というマルチ・タスクは、ほぼ不可能だからです。

それよりも、例えば「リフォームするときは、必ず『かかりつけ工務店』に相談すること!」のようなルールの方が、私には実行しやすいです。相手の話を聞く前に判断できるからです。

これから高齢化がさらに進んで、私のように脳の回転力の衰えた人が徐々に増えていくのではないかと思います。そのような時代に向けて必要なアドバイスは、相手の話を「聞きながら、考えながら…」というタイプのものではなくて、相手の話を聞く前に判断できるタイプのものではないかと思います。


(2)転ばぬ先の杖

そのためには、例えば隣近所の方々と協力して『かかりつけ工務店』を作っておくとよいかもしれません。顧客が何軒か固まっていれば、定期的にチェックに来てもらいやすくなるのではないかと思います。そして、家屋の痛みが小さなうちに見つけてもらって、短期で安価に修繕してもらえるのではないかと思います。その際、作業内容に応じて、『かかりつけ工務店』が直接作業する場合もあれば、信頼できる業者を紹介してくれる場合もあると思います。やがて、『かかりつけ工務店』と深い信頼関係が熟成されて、他の業者に相談しようという気持ちが起きなくなることと思います。

そんな「転ばぬ先の杖」タイプの暮らしが、長い目で見ると経済的であると同時に、想定外のトラブルを防ぐ手段としても有効ではないかと思います。


(3)複雑な相談の必要のない暮らし

私は後遺症のため脳の回転力がかなり遅いため、口頭では簡単な話しかできません。ちょっと内容が複雑になってくると、「聞きながら、考えながら、話しながら…」というマルチ・タスクができなくなってしまうからです。

そのため、例えば困りごと相談室の窓口を教えていただいても、相談に行くことができません。たとえ無料であったとしてもです。一度、親切な方から電話でいろいろとアドバイスをいただいたことがあるのですが、エネルギッシュな方だったので私には早口すぎて、内容を十分に聞き取ることすらできませんでした。そのため、大変失礼ながら、ご支援をお断りしてしまいました。おそらく、仮に裁判に漕ぎ着けたとしても、質疑に的確に応じることは大変難しいのではないかと思います。

こんな私でも、幸いにして時間をかければ文章を書くことができるので、文章を書いてお渡しして終わり、というコミュニケーションならできます。(コミュニケーションとは言えないかもしれませんが…)

このように、いざコトが起きてしまったら、私には何もできないに等しい状態になってしまいます。これから高齢化が進むにつれて、私と同じような状態の人が増えていくかもしれません。そのような観点からも、前述の「転ばぬ先の杖」タイプの暮らしの推進は重要ではないかと思います。