法楽日記

デジタル散策記&マインド探訪記

アヒンサーからの宿題

(1)アヒンサー

いつの頃からか、「怒ったら負け」と思ってました。

なぜそんな風に思うようになったのか、自分ではよくわかりません。ガンジーの非暴力・不服従のことは知ってました。ジャイナ教では虫も殺さないことも知ってました。しかし、それが「怒ったら負け」につながるとは想像したこともありませんでした。

インドの伝統的な戒に「アヒンサー(非暴力)」があります。ガンジージャイナ教、ヨーガなど、インドでは大変重視れさている戒です。当初は肉体的な暴力を禁止する戒だと思ってました。しかしいつしか、心の中の暴力的な感情も含めて禁止する戒だと思うようになりました。そして最近、「怒ったら負け」はアヒンサーにつながることに気付きました。

もしかしたら、アヒンサー戒は私にとっては因縁あるとても大切な宿題なのかもしれません。


(2)怒ったら負け

ご存知のように私は感情がとても乱れやすい人です。強烈な自己否定の心を抱えているからです。だからこそ、アヒンサーは大切な宿題だと思っています。

例えばとんでもない事件に巻き込まれたときに、世間的な理屈を振り回して「なんて悪い奴だ!ぷんぷん!」と思ったとしたら、前述の「怒ったら負け」のルールにより、その瞬間に私の負けです… 「ぷんぷん」が消えるまで、土俵に上がることができません。。

喩えるなら、しりとりで「ん」で終わる言葉を発した瞬間に負けるのと同じです。

では、どうするとよいでしょうか… 探求の始まりです。


(3)共感か独善か

まずは、生まれてこのかたの体験を思い出してみました。

そして気付きました。とんでもないことをする人たちには、その自覚がないからこそ平気でできるのだということに…。おそらくほとんどの人は、次のように思っているのではないかと思います。

「自分はよいことをしている。中にはあまりよくないこともあるけど、自分にはそれをする権利がある。」

ここでは「よい」の判断基準が曲者です。事情をきちんと理解した上で行動している人もいれば、自分勝手な妄想を膨らませて行動している人もいるからです。しかしいずれにしても、ほとんどの人は上述のように思っているように思います。

これを前提に人の心を見るようにしています。


(4)怒りの感情

次に、怒りの感情を見つめてみました。どんなときに怒りの感情が湧き上がってくるか、どんなときに怒りの感情が爆発するか… そして次のようなルールを発見しました。

どうやら、怒りの感情が湧き上がってくるのは、(1)相手の中に自分の嫌いなところを見たとき、(2)自分の思い込み(妄想世界)が攻撃されたと思ったとき、の2つのパターンがあるようです。

逆に言えば、怒りの感情がどのようなときに湧き上がってきたかを見つめることで、自分の嫌いなところや、自分の思い込みが見えてきます。

それをひとつひとつ消していけば、過去の出来事に対する怒りの感情が少しずつ小さくなっていきます。そして、日々の暮らしの中で怒りの感情が湧き上がってくることが少なくなっていきます。

怒りの感情を見つめることを通して、「事実は中立(ニュートラル)で、怒りの感情の原因は100%自分の内側にある」と思うようになりました。道徳的な善悪は、怒りの感情と切り離して冷静に考えるべきだと思うようになりました。


(5)ロボット

その次に、人々の潜在意識に潜む「心の動き」を探りました。生まれてこのかたの体験を思い出しては、ひとつひとつ分析していきました。

私が強いご縁をいただいた方々は、どうやら自己否定の心が強い人が多かったように思います。彼らは、大きく分けて次の三つのタイプに分類できるように思います。

  • 〔反動タイプ〕自己否定の心を否定するために、自分は凄いと思い込む。
  • 〔従順タイプ〕自己否定の心に従って、自分を押し殺して、場に従う。
  • 〔研鑽タイプ〕自己否定の心を埋めるために、一所懸命研鑽する。

私の場合は、特に〔反動タイプ〕の方々と強いご縁をいただきました。そして「事実は小説より奇なり」な事件をたくさん体験することができました。同じような体験をいくつ見比べてみることで、彼らの心の動きが少しわかるようになりました。

心の動きにパターンがあるということは、心の動きをおおまかなアルゴリズムとして記述できることを意味しているように思います。また、もしも一人一人の心の動きをアルゴリズムとして記述できれば、集団心理を分散アルゴリズムとして記述できるのではないかと思います。

もしもそんな大それたことができるのであれば、、人は自由意志で行動しているつもりになっているだけで、実際には自己否定の心に操られたロボットなのかもしれません。仮にそうだとすると、ロボットの言動を責めても馬耳東風に終わるだけで何も変わらないのではないかと思います。大切なのは、ロボットであることをやめてもらうことだと思います。

ロボットから人間になってもらうためには、自己否定の心を少しずつ小さくして、やがて消してもらう必要があると思います。そういう方向で協力し合うことができれば、一人一人の苦しみが消えていくと同時に、集団心理も穏やかになっていくのではないかと思います。


(6)ハート

今は、潜在意識をもう一歩掘り下げたいと思っています。潜在意識の中で前述のアルゴリズムが働く部分よりさらに奥に、人の心の本質的な部分があるのではないかと思うようになったからです。

もしも相手のハートと直接語り合うことができれば、相手から不可解な言動を引き出すこともなく、幸せな関係を築くことができるのではないか… 怒りの感情と無縁な関係を築くことができるのではないか… 今はそんな風に思っています。

しかし、そのためにはどうすればよいのか、私の力量ではさっぱり分かりません… 愛あふれる人になれるとよいのかしら… でも、どうやって… 今はここで足踏みしています。


(7)さらに深く

アヒンサー戒からいただいた宿題に向き合っているうちに、ここまでやってきました。

できることなら、潜在意識のさらに深いところへと降りていければと思っています。

この先、どこにたどり着けるか… 探求はまだまだ続きます。