（１）多様性
雨粒が地面に落ちるとエアロゾルが生成されて、微生物を乗せて空気中を漂うそうです。雨の季節は地元の環境微生物と馴染みになるちょうどよい機会かもしれません。大自然に近いところほど、多彩な微生物に出会えるのではないかと思います。そういう意味では散策によい季節かもしれません。
人体を観察すると、皮膚や腸などに無数の微生物が暮らしているそうです。人体の細胞の数より微生物の数の方が多いくらいだそうです。微生物も多様性が重要で、お互いに押し合いへし合いしながら、人智を超えたバランスを保っているようです。そのため、特定の種類（例：善玉菌）だけ増やしたり、逆に特定の種類（例：悪玉菌）だけ殺したりすると、微生物叢のバランスが乱れて却って悪い結果になることがあるそうです。多彩な微生物に広く親しむことが重要なようです。
自然界でも多様性が重要で、様々な動植物や微生物が押し合いへし合いしながら共存している状態が安定しているようです。そのため、人間の都合で特定の種類だけ増やしたり、逆に特定の種類だけ減らしたりすると、バランスが乱れて却って悪い結果になることがあるようです。また、人間の都合で外来種を導入する際も、よほど注意しないとバランスが乱れることがあるようです。
人間社会でもおそらく多様性が重要で、様々な人が押し合いへし合いしながら暮らしている状態が、本来の姿ではないかと思います。人為的に構成員を選別すると、長い目で見ると却って悪い結果が待っているのではないかと思います。超人的な人もいれば、困ってる人もいるのが、本来の姿ではないかと思います。
（２）揺れ幅
優しかった人が急に粗暴になったとしたら、その人は本当は随分前から心に苦しみを抱えていたのかもしれません。それを隠して一所懸命生きていたのに、ある日とうとう耐え切れなくなって、心が壊れてしまったのかもしれません。そして身近な人に SOS 信号を発しているのかもしれません。
粗暴さが耐えきれないくらいに激しいときは逃げた方がよいと思います。しかしもしも無理なく我慢できる範囲であれば、心の苦しみを受け取ってあげると、その人の心は安らぐかもしれません。やがて心が落ち着いて、元の姿に戻ってくれるかもしれません。
その人の心が救われるかどうかは、身近にいる甘えられる関係にある人が、心の苦しみを受け取ってあげられるかどうかにかかっているかもしれません。簡単なことではないかもしれませんが、上手に受け止められると、おそらく専門家よりも効果が大きいと思います。しかし、身近な人は専門家ではないので、粗暴さが激しいときは専門家に任せた方がよいと思います。
この世で暮らしていると、人の心はどうしても揺れ動くので、揺れ幅を受け止め合える社会だといいなと思います。
（３）観察と記述
発症から間もない頃は、私もあちこちに出かけてました。そして、私にできること、できないことを申告して、できることの範囲で世の中にお手伝いできることがあればいいなと思ってました。
しかし、それは簡単なことではありませんでした。どうやら、そんな症状の人がいるはずがないと思われてしまうことが多かったようです。そして「きっと本当は○○だろう」「冗談を言ってるんだう」「サボるための言い訳にしてるんだろう」などと思われてしまうことが多かったようです。
最初のうちは加減がわからなかったので、罵倒されたり、笑い物にされたり、できないと言っていることを無理矢理させられそうになったりしました。やがて正直に申告するのをやめて、ちょっと体が弱い人、というキャラクタ設定で自己紹介することを学びました。しかしそれは正確ではないので、やっぱりできないことをしなくてはいけなくなることがありました。いろいろあって、最終的に引きこもりを選ぶことにしました。
できることなら、正直に状態を申告すればそのまま受け取ってもらえるととても嬉しいのですが、どうやら私は何もかも常識外れなようで、簡単には受け取ってもらえません。
私のような変な人でも受け止めてもらえる社会だと嬉しいなと思うのですが、私の都合に合わせて社会に変わってもらうのは簡単なことではありません。そこで今は逆に、どんな人がどんな風に受け止めてくださるかに興味があります。そして人の心を観察することに興味があります。
そのような訳で、世の中に積極的に関わっていく気持ちがすっかり消えて、世の中を観察することに興味の中心が移ってしまいました。今は、一人一人の心の動きを理解するとともに、世の中の心の動きを理解することに興味があります。それを分散アルゴリズム的に記述することにとても興味があります。
そのため今の私にとっては、生まれてこのかたのあらゆる経験が貴重な宝物です。あらゆる心の傷がありがたい宝物です。経験と出会いの多様性はとても重要だと思います。目指す方向性が変わると、心の中のモノサシもすっかり変わってしまいますね。ますます変な人になってしまっているかもしれません（笑）
