「天の神様」「地の神様」という表現があります。
言葉だけを見ると、上空にいらっしゃる神様と、地下にいらっしゃる神様のように見えます。
しかし本当は、「天の神様」とは心の奥底でつながっていて、「地の神様」とは大自然を通してつながっているのではないかと思います。すなわち、「天の神様」は人間の内側にいらっしゃる神様で、「地の神様」は人間の外側にいらっしゃる神様ではないかと思います。
「天の神様」は常に人間の心の奥底から呼びかけていらっしゃって、聖人は無意識のうちにその声を受け取っているのではないかと思います。しかし私のような凡人には、潜在意識の浅い場所からやってくる煩悩の声を聞き取るのが精一杯ではないかと思います。
また、「地の神様」は常に大自然を通して呼びかけていらっしゃって、聖人は無意識のうちにその声を受け取っているのではないかと思います。しかし私のような凡人には、世間の迷妄の声を聞き取るのが精一杯ではないかと思います。
理想郷(ユートピア)に住む人と、反理想郷(ディストピア)に住む人の違いがあるとしたら、そこではないかと思います。理想郷に住む人は、天地の声をしっかりと受け取ることができるのではないかと思います。反理想郷住む人は、人間界の妄念・情念に振り回されているのではないかと思います。
このように考えると、日々の暮らしの中で意識をどこに向けておくかは、とても重要なことだと思えてまいります。