法楽日記

デジタル散策記&マインド探訪記

千本ノック

千本ノックは野球の守備練習のひとつで、打球の捕球と送球をひたすら繰り返す反復練習だそうです。ただ、スポ根時代のトレーニングというイメージがあるので、現代ではほとんど行われていないかもしれません。

しかし、視点を変えると千本ノックの意義が違って見えてくるそうです。

千本ノックを受けていると、段々と疲れてきます。最初のうちは力一杯練習することができても、疲労とともに筋肉に力が入らなくなって、思考もできなくなって、ただただ捕球と送球を繰り返すしかなくなってきます。

ある本によると、そうなってからが本当の練習なのだそうです。

最初のうちは脳も体も活発なので、顕在意識であれこれ考えながら体をコントロールしようとします。しかし脳も体も疲れてくると、顕在意識の介在なしに体が勝手に動くようになります。その状態こそが、一人一人の体にとってのベストな動きが出るときなのだそうです。

ベストな状態での練習を繰り返すと、どんどん上達します。そして守備速度も守備範囲もどんどん伸びていきます。やがて本番でも自然にベストな状態で守備することができます。力みのない、のびのびとしたプレーとなるようです。千本ノックで成長した人は、知らず知らずのうちにそれができていたのではないかと思います。(昔の優れた指導者は適切な練習方法を知っていたのかもしれません)

顕在意識はアクセルとして働くこともあれば、ブレーキとして働くこともあります。千本ノックはブレーキとしての顕在意識をかなぐり捨てるための練習と考えることができるようです。


私は後遺症により顕在意識の思考能力がかなり低いです。そのため思考能力のリハビリも必要です。

そこで、昨年は8月上旬から11月末までソリティア(正式名クロンダイク)に取り組みました。多くの人にとっては、ソリティアは遊び(もしくはサボり)でするものかもしれませんが、昨夏の私にとってはソリティアをプレーすること自体がハードルの高いものでした。刻々と変わるカードの状況を把握しながら的確な手を打つ。しかし当時の私には、場にあるカードの状況をわずかでも認識すること自体が、とても難度の高いことでした。脳の疲労を招くトレーニングでした。

それでも、まるで千本ノックに取り組むように、ソリティアに取り組みました。お蔭様で、4ヶ月間のトレーニングの結果、ソリティアを解くことが随分と楽にできるようになりました。今ではソリティアは脳のウォーミングアップとして、あるいは気分転換として、毎日プレーしています。

そして11月末から、技術的作業(プログラミング)に取り組んでいます。これもまったく楽な作業ではないのですが、喩えるなら千本ノックに取り組むように、技術的作業に取り組んでいます。顕在意識で思考せず(思考すると作業が止まるからです)、潜在意識から湧き上がって来る指示に従って作業しています。

最終的には、潜在意識のどこかに潜んでいる「昔取った杵柄」くんにすべてを委ねて、顕在意識で思考することなく作業できるようになりたいと思っています。心理学でいう「フロー」や「ゾーン」に近い状態かもしれません。確かに集中して作業してるんだけど、思考はしてない。そんな状態を目指してトレーニングしています。

発症前も言語を使わずに思考していたので、もしかしたら発症前の感覚を取り戻そうとしていると言えるかもしれません。

ただ今は練習段階なのでどうしても疲れがたまってしまいます。疲れたときは無理せずしっかり休憩しようと思っています。