法楽日記

デジタル散策記&マインド探訪記

オレ様は偉いんだぞ病

不思議なもので、ソリティアを解いていると、昔々の記憶が突然リアルに再生されます。長年に渡って思い出されることのなかった記憶が、その時の感情と共に突然アリアリと再生されてくるのです。

当時は理解できなかったことでも、今から見るとなんとなくわかることはたくさんあります。その際にとても役に立っているのが、人間の三類型です。先日、物事を理解する方法論の観点から書いた三類型のことです。


そのうちのひとつ、1番の「頭で考える人(空想の人)」のタイプの人によくいるのが、「オレ様は偉いんだぞ病」の人です。なぜだか「オレ様はなんでもお見通しだ」と思っていて、自分の知識や空想は絶対的に正しいとも思っているようなのです。(私は男性でしか知らないので「オレ様」と書きましたが、女性にもいらしたらすみません)

このタイプの人は、自分は何でもわかっていると思っているので、あまり勉強しません。勉強するにしても、とても表面的です。おそらくかつてはある程度勉強したのだと思います。その頃の記憶、すなわち客観的に見ると古かったり間違ってたり表面的だったりする彼らの知識を、なぜだか彼らは絶対視します。そして、彼らの知識や理解と異なる発言をする人を徹底的に侮蔑します。あまりに腹が立つのか、そのことを本人の前では決して言いません。代わりに、自分たちの話を聞いてくれる人たちの前で、怒りを込めて言いふらすようです。あまりに激しく言うので、専門外の人の中には、信じる人が現れます。そうやって自分が気に入らない人のアンチを増やしていきます。

妄想も激しくて、根拠のない空想をさも事実のように言いふらします。「オレ様はなんでもお見通しだ」と思っているからではないかと思います。その結果、たまたま妄想のターゲットにされた人は、知らないうちに悪者にされて、気がついた時には四面楚歌になっているのに、理由がまったくわからない(誰も教えてくれない)という状況に陥ってしまいます。

また、このタイプの人は人事権や予算権を持っている人の前ではとても良い子です。そうやって深い信頼を得た頃に、気に入らない人たちの行状を告げ口します(実際には思い込みの「讒言(ざんげん)」です)。人事権を持つ人は「言いにくいことをよくぞ教えてくれた」と思うのでしょうか、讒言された人はやがて左遷されていきます。あるいは、自分の計画を誇大妄想よろしく大風呂敷を広げて伝えて、多額の予算を獲得します。そうこうするうちに、彼らは出世していきます。

人たらしが上手なだけで客観的には実力がない人が出世すると、周りの人はなかなかついてきてくれません。実力が伴わないため、デタラメなことばかり主張するからです。そこで、このタイプの人は自分に従順な人を重用したり目をかけたりします。逆に、自分に従わない人を冷遇します。彼らは「オレ様はエライ」と思っているので、自分たちの言うことを理解できる人が優秀な人に見えて、理解できない人は劣った人に見えるのではないかと思います。その結果、忖度上手な人ばかりが出世して、実力のある人たちにあらゆる矛盾とシワ寄せが集中します。そのような状態が続くと、転職できる実力のある人たちはどんどん退職していきます。彼らにとっては、願ったり叶ったりな状況ではないかと思います。そして代わりに非正規社員を増やしていきます。非正規社員はあまり逆らいませんし、社内情報に疎いので妄想がバレにくいですし、出世の妨げにもならないからではないかと思います。その結果、実力のない正社員と実力のある非正規社員という組み合わせの職場ができあがります。まさに「悪貨は良貨を駆逐する」な状況です。

そのような訳で、彼らのもとには忖度上手な人か、給与目的の人しかいなくなります。人前では自信たっぷりに威張り散らしてますが、内心はとても寂しいのではないかと思います。

幸か不幸かこれまで「オレ様は偉いんだぞ病」を患っている人たちをたくさん見てきました。そのため、ひょっとしたらこのタイプの人は日本のあちこちにいるんじゃないかと思うことがあります。もしかしたら本当はとても沢山いるんじゃないかと思うこともあります。仮にそうだとしたら、日本はとてもヤバイ状況にあると思います。


〔追記 2020-09-12〕

私が体験した範囲では、彼らは自己否定がとても強い人たちのように思います。その反動で(自己否定の気持ちを否定するために)「オレ様はエライ」と思い込みたいのではないかと思います。

そこで、「オレ様はエライ」を結論とするストーリーを妄想して、それがいかにも事実であるかのように自分自身でも信じ込んで、周りの人たちにも熱く語って賛同してくれる人をできるだけ作って、妄想ストーリーの現実化のために邁進しているのではないかと思います。また、話を信じてもらいやすいよう、日頃から威厳のある態度を取ろうとします(意に反してハリボテな態度に見える場合がよくあります)。

妄想ですから失敗することが多いように思います。その場合はまた「オレ様はエライ、失敗したのは○○のせいだ」を結論とする妄想ストーリーを作り出して、同じようなことを繰り返すようです。

その結果、スケープゴートにされた人たちの人生は破壊され、優秀な人たちはどんどん逃げていって、会社の損失もとても大きいと思います。しかし上司から信頼を得ているので、彼らが責められることはありません(いつかは実態がバレるかもしれませんが…)。

「オレ様は偉いんだぞ病」の一番の原因は、彼らの自己否定の思いがとても強いからではないかと思います。仮にその思いが弱まって、「オレ様はエライ」と思わなくて生きていけるようになれば、彼らの人生も、周りの人たちの人生も、随分と変わるのではないかと思います。

残念ながら、どうすればそのような方向に気持ちを導けるのか、今の私にはわかりません…

「オレ様は偉いんだぞ病」に限らず、自己否定の思いは様々な不可解な言動の原因になっているように思います。たくさんの人たちの自己否定の思いを消せるとよいのですが、、その前にまずは私自身の自己否定の思いを消していかねばなりません。