法楽日記

デジタル散策記&マインド探訪記

宮脇昭(著)「鎮守の森」

宮脇昭(著)「鎮守の森」を読みました。著者は国際的に著名な植物生態学者です。

世界中の森林の多くは、伐採・植林・放牧・汚染など人間の活動により、自然本来の姿とは異なっているそうです。そこで、仮に人間からの干渉が一切ないと仮定した場合の、その土地の気候や土壌に適した本来の植生を「潜在自然植生」と呼ぶそうです。日本では「鎮守の森」や、昔ながらの「屋敷林」に多く残っているそうです。

環境条件に目を向けると、個々の生物にとって一番成長しやすい条件(最高条件)と、生物社会での居場所を見つけられる条件(最適条件)とは異なるそうです。最高条件で生きている種は、一見すると競争に勝ち残った強い種に見えますが、過剰に適応した状態にあるため環境変化に弱いそうです。一方、最適条件で生きている種は、一見すると競争に負けて逃げ延びた弱い種に見えますが、最高条件から大きく離れていても生きていける力強い種だそうです。

前述の「潜在自然植生」は、最高条件で生きる一握りの大型の種と、それぞれの最適条件の中で生きていけるたくさんの中小の種で構成される共生社会だそうです。どの種が欠けても、生物社会は大きな影響を受けるそうです。ですから、生物多様性は種類が多いことが大事なのではなくて、それぞれの土地にあった生物社会の構成員が漏れなく揃っていることが重要なようです。(人間社会でも同じようなことが言えるかもしれません)

著者は木を植える人としても有名で、「潜在自然植生」を回復するために国内外で植樹活動をされているそうです。その際に用いられる植生回復方法は、敬意を込めて「宮脇式」と呼ばれているそうです。


以下は、宮脇昭さんのインタビュー記事と紹介記事です。


以下は、宮脇昭さんの関連団体の一部です。