科学者たちの調査によると、COVID19 の症状が軽い地域と、BCG ワクチンを接種している地域が、なんとなく一致しているそうです。BCG ワクチンにはいくつか系統があるそうですが、ソ連と日本とブラジルの菌株が特に有効と見られているそうです。
もちろん、偶然の一致かもしれません。そこで、臨床試験が行われようとしています。まずはオーストラリアで始まったそうです。他の地域でも始まるのではないかと思います。
もしも、BCG ワクチンで得た免疫が COVID19 への耐性を高めていることが確認されれば、日本で生まれ育った人にとっては朗報です。逆に日本に住む BCG 未摂種の人にとっては、自分だけ免疫力が低いことを意味するので、大変なニュースかもしれません。注目すべき臨床試験だと思います。
詳しくは、下記の Jun Sato さんによるブログ記事(英語)をお読みください。
BCG ワクチンを摂種すべき理由として、次の5つが挙げられてました。
- Scientists started to work on this hypothesis
- If you look at the map displaying BCG vaccination policy by country, there seems to be a correlation to the speed of coronavirus spread and its spread among young people.
- There are several strains of BCG vaccination and Soviet/Japan/Brazil strains may be the most effective against the novel coronavirus
- In Japan and Portugal, the deaths come only to the age group without the mandatory BCG vaccine program period. A weak hypothesis.
- BCG vaccination has a long history and there seems no little downside to human beings.
- If I were North American/West European/Australian, I will take BCG vaccination now against the novel coronavirus pandemic. (JSatoNotes, 2020-03-26)
上記記事の一部が、下記記事にて日本語で紹介されてました。
- 日本型BCGで新型コロナの免疫ができる? (池田信夫, アゴラ, 2020-03-27)
下記は参考資料です。
- 新型コロナ:被害の大きい国と小さい国の違いはなんなのか? BCGワクチンが新型コロナウイルス感染予防に効果がないか確かめる治験が開始 (Togetter, 2020-03-27)
- 3月26日 BCGはなぜウイルス感染予防効果があるのか(2018年1月号 Cell Host & Microbe 掲載論文) (オール・アバウト・サイエンス・ジャパン, 2020-03-26)
下記記事によると、オーストラリアのマードック・チルドレンズ研究所は COVID19 対策として BCG ワクチンの臨床試験を行うそうです。
- 豪 BCGワクチン 新型コロナウイルスに有効か臨床試験へ (NHK, 2020-03-27)
下記はマードック・チルドレンズ研究所による発表資料です。
- Murdoch Children’s Research Institute to trial preventative vaccine for COVID-19 healthcare workers (Murdoch Children’s Research Institute, 2020-03-27)
Wikipedia の BCG の説明によると、『BCGは、実験室で長期間培養を繰り返すうちに、ヒトに対する毒性が失われて抗原性だけが残った結核菌であり、BCGワクチンはBCGを人為的にヒトに接種して感染させることで、結核に罹患することなく、結核菌に対する免疫を獲得させることを目的としたものである。』とのことです。
また、BCG ワクチンは、およそ100年前に13年間かけて、230代に渡って継代培養された菌株が元になっていているそうです。それ以来、世界各地で継代培養されているとのことなので、菌株によって特性が若干異なっているかもしれません。弱毒生菌ワクチン(生ワクチン)なので効果が半永久的だそうです。
BCGワクチン接種は、日本では現在も全員が対象だそうです。摂種状況は国によって異なるようです。
Wikipedia の BCG の説明によると、『旧来は、ツベルクリン反応検査の皮内注射を行い、陰性(場合によっては疑陽性も)の場合に経皮接種が行われていた。接種時期も、幼児期、小学生、中学生の3回であった。』『2005年(平成17年)の法改正により、接種時期は生後6ヶ月未満(生後3ヶ月以降を推奨)の1回となり、ツベルクリン反応検査なしで接種することとなり、さらに2014年(平成26年)の法改正により、接種時期が生後1年未満(生後5ヶ月以降8ヶ月未満を推奨)に変更された。』とのことです。
また、Wikipedia の結核の説明によると、『BCGワクチンの接種は、日本では実施されている。アメリカ合衆国では行われていない。ヨーロッパ諸国では行われている国もあるが、フランスなど中止した国もある。英国では10-14歳小児へのルーチン接種は推奨されなくなった。結核菌の頻度が低い地域ではBCGを行うメリットは低く、むしろデメリットが大きいと考えられる。中止したスウェーデン、旧東ドイツ、チェコスロバキアなどは、中止後小児結核が増加した経緯がある。』とのことです。
以下は参考資料です。
下記論文より『1951年の結核予防法改正以来,30歳未満のすべての人が毎年ツ反応検査を行い,陰性ならば BCG 接種を行うこととされていた』
- BCG の歴史:過去の研究から何を学ぶべきか (戸井田一郎, 資料と展望 No.48, 2004-01)
- 日本ビーシージー製造株式会社
以下、日本の予防接種の歴史の資料です。
- 日本の予防接種の歴史(各ワクチン) (国際医療について考える, 2019-01-31)
- 年齢別予防接種早見表 (安佐医師会)
以上です。