法楽日記

デジタル散策記&マインド探訪記

馬場正尊(著)「RePUBLIC 公共空間のリノベーション」

馬場正尊(著)「RePUBLIC 公共空間のリノベーション」を読みました。

現代社会における公共空間のあり方は、これまでの長い長い経緯の上に組み立てられているものと思います。しかしそれは必ずしも万人にとって使いやすいあり方ではありません。場合によっては、ほとんどの人にとって使い勝手が悪い状態になっているかもしれません。そのような状況をどうやって変えていくか。ケーススタディとして、公園、役所、水辺、学校、ターミナル、図書館、団地などの例を示しながら、公共空間のリノベーションについて語られた本です。

公共空間をリノベーションする場合、ある人たちの視点からは素晴らしい改善に見えても、別の人たちの視点からはとんでもない改悪に見えることは、どうしても起きてしまうのではないかと思います。多様化が進む現代社会においては避けられない問題だと思います。そこで、事前の話し合いの期間を十分にとって多様な視点間の調整に努めたり、公共空間ごとに敢えて異なる視点でリノベーションすることで多様性に対応したりと言った工夫が必要ではないかと思いました。

仮にすぐには解決できない問題が残った場合でも、ケーススタディとしてポジティヴ・ネガティヴ両方の情報を極力公開することで、その後のリノベーションにいかしていけると素晴らしいなと思いました。

この本に掲載されている事例は、著者の視点で選定されたものだと思います。著者とはまったく異なる視点から公共空間の利用について語られた本があれば読んでみたいと思いました。例えば公共空間にしか居場所を見つけられないホームレスから見た望ましい公共空間のあり方、望ましい社会のあり方について興味があります。


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