法楽日記

デジタル散策記&マインド探訪記

アレックス・カー、清野由美(共著)「観光亡国論」

アレックス・カー清野由美)(共著)「観光亡国論」を読みました。

一口に観光と言っても、観光地の住民から見ると様々な形態があるようです。それを大きく二つに分類すると…

ひとつは大型観光バスなどを利用して大人数が一度にやってきて、30分なり1時間なり滞在して、すぐに次の観光地に行ってしまうタイプ。駐車場、展望台、トイレなどを一所懸命整備して住民総出で手入れしても、売れるのは自動販売機の飲み物くらい。人気の高いところでは外部資本が売店を開くかもしれませんが、利益は外部に流れて地元に残るのはバイト代くらい。そんなこんなで地元は赤字、儲かるのは外部の観光業者ばかり。そんなパターンになりがちなようです。

もうひとつは旅行者自身が行き先も行き方も宿も選んで、気に入ったところに滞在するタイプ。宿泊、飲食、体験、土産、そのほか様々な形でお金を使ってくれるので客単価が高いそうです。一定以上のクォリティーがあれば口コミやリピーターで十分なお客さんが来てくれるので、投資を回収しやすいようです。1日あたりの観光客数は少ないので、地元の暮らしへの悪影響はほぼないそうです。

(すみません、上記の私の理解は過度に単純化されていると思うので、この分類に当てはまらないところはたくさんあると思います)

著者は前者を『量』を重視する観光 (quantity tourism)、後者を『質』を重視する観光 (quality tourism) と表現していたと記憶しています。どちらを目指すかで観光政策が随分違ってくると思います。著者は後者を勧めてました。

私の感想ですが、観光地の住民から見ると重要なのは下記ではないかと思いました。

(1)地域にお金が回る(地域経営) (2)地域の暮らしを守る(生活環境) (3)地域の聖地・文化・環境を尊ぶ(伝統継承)

具体的な打ち手は地域の特徴や方向性によって変わってくると思います。そのためのヒントはこの本で紹介されている事例をはじめ、世界各地の成功事例・失敗事例から探す必要があるように思いました。

以上、観光の門外漢による素人な感想でした。