法楽日記

デジタル散策記&マインド探訪記

学費の恩送り

モアハウス大学(米国ジョージア州アトランタ市)から名誉博士号を受けた実業家、ロバート・F・スミスさんが卒業式でスピーチを行い、その年の卒業生(約400名)全員の学費ローンを全額肩代わりすることを表明したそうです。総額は記事により異なりますが、日本円にして10億円〜50億円とのことです。生徒も家族も大喜びしたそうです。

喜びに包まれた会場に向けて、スミスさんはとても大切な言葉をかけました。

「みなさんが『pay it forward(恩送り)』してくださることを期待しています」

スミスさんが学費ローンを肩代わりするのは今年の卒業生のみです(米国の大学の卒業式はこの時期に行われます)。それをきっかけとして、来年以降の卒業生の学費ローンの負担を軽減する仕組みをみんなで作っていきましょう、という呼びかけだと思います。

今年の卒業生は学費ローンから解放されたと同時に、大学コミュニティの一員として大きな役割を果たす責任を負うことになりました。おそらく卒業年に関わらず、卒業生が協力して学費ローンの軽減をはかっていく仕組みを作っていくことになるのではないかと思います。

もしかしたら卒業生の寄付で成り立つ仕組みとなるかもしれません。仮に生涯に渡って学費と同額の寄付をするにしても、利子を払わなくて済む分、総額は随分と抑えられるのではないかと思います。寄付できる時期に寄付できる金額だけの貢献で済めば、人生設計も随分と楽になるのではないかと思います。あるいは返済プランに融通のきく低利子(無利子)学費ローンを創設するのかもしれません。

いずれにしても、一過性の学費ローン負担軽減策ではなく、継続的な学費ローン負担軽減策を作っていくことになるのではないかと思います。成功した投資家だけあって、先の先まで見ているんだなと思いました。


ロバート・F・スミスさんによるスピーチ (英語, 字幕なし, 抜粋, 2分42秒)

1分11秒〜1分31秒『Now, I know my class will make sure they pay this forward, I want my class to look at these alumni, these beautiful Morehouse brothers, and let's make sure every class has the same opportunity going forward』


なお、モアハウス大学は私立男子大学で、設立当初は黒人男子のための大学だったそうです。今は人種によらず入学できますが、Wikipedia によると99%が黒人とのことです。白人学生が最高栄誉学生に選ばれたこともあるそうです(2008年)。

下記記事の舞台となった大学だったのですね。