法楽日記

デジタル散策記&マインド探訪記

羨ましい、とは…

数年前に口で絵筆を操って絵を描かれる方の作品展を拝見したことがあります。ご本人の大変な工夫と苦労、ご家族の献身的なサポートがあってこその作品ではないかと思います。原画を見る機会は限られてますが、ネットで作品の一部をいつでも拝見できます。

口と足で描く芸術家協会」のホームページを拝見するとたくさんの画家さんが登録されています。その素晴らしい作品を見て感動される方はたくさんいらっしゃることと思います。そしてご本人に「素晴らしい絵ですね」と声をかけた方もたくさんいらっしゃるのではないかと思います。しかしご本人に面と向かって「こんなに素晴らしい絵が描けるなんて羨ましいです」と言える人は少ないのではないかと思います。口にペンを取って絵を描くことがどんなに大変か、常人の想像を遥かに超えていることは明らかだからです。


私は幸いにも麻痺はほとんどありません。敢えて言えば平衡感覚が怪しくなったくらいです。(そのため歩くにしても作業するにしても体が若干左右に揺れます)

しかし読み書き聞き話し考える能力については、一旦ほとんど失ったも同然となりました。そこから数年に渡るリハビリを重ねてようやく現状まで回復しました。投稿するのは最終原稿だけなので、その陰にどれだけの苦労があるのかは全く見えないと思いますし、発症前と比べると作文能力がどれだけ衰えているかも見ないと思います。

衰えたのは作文能力だけではありません。発症前と比べて本当に沢山の能力を失ってしまったことを今更嘆くつもりはありませんが、悲しい気持ち、寂しい気持ちもすっかり消えてしまったというと嘘になります。また、現状の回復ぶりのままでは私自身の未来がどうなるかについても、悲観する気持ちがすっかり消えてしまったというとやっぱり嘘になります…

私自身がまだまだ微妙な心の状態にあるため、「そんな文章が書けて羨ましい」と言われると微妙な心境になってしまいます。それが続くと、神経を逆撫でされたような気持ちになってしまいます。「全身が麻痺した方に比べれば遥かに恵まれてるじゃないか、贅沢な奴だ」と思われるかもしれません。しかし大変申し訳ありませんが、私はそんなに心の広い人間ではありません。傷つく時は傷つきますし、腹が立つ時は腹が立ちます…


年初からプログラミングのリハビリを始めました。とは言え、桜の季節以降はサボり気味です。

リハビリ開始から間もないこともあって、発症前と比べると圧倒的にダメダメです。作業時間は発症前の何十倍、あるいはもっとかかっているかもしれません。門前払い以前、初心者以下と言ってもよいくらいです。

とは言え、いま取り組んでいるテーマも開発規模も、一定以上の経験を必要とする難度のものです。参照必須の技術資料は合計すると何千ページという厚みがあります(知見の蓄積があるので読むのは全体の一部ですが、それでもたくさんの記述の中から読むべき箇所を探すのは毎回大変です)。現時点でもすでに、きちんと設計できてないとあっという間に破綻してしまう規模にまで育ってますが、今のところ設計に由来するバグはありません(幸いバグはポカミスばかりです)。

私は「視野狭窄」ならぬ「思野狭窄」なので、単純な内容以外は考えることができません。そのため顕在意識では極力考えず、潜在意識にすべてを任せて作業するしかないのですが、よくぞ今日まで破綻せずに来れたものだと思います。きっとこれからも破綻せずに作業を進められることと思います。「昔取った杵柄」とはよく言ったものだと思います。

だからと言って、「わー、すごいなぁ、羨ましいなぁ…」と言われても、素直には喜べないと思います。むしろ傷付いたり腹が立ったりするのではないかと思います。「なんて礼儀知らずな奴なんだ」と思われるかもしれません。しかし、私はそこまで心が広くないものですから、誠に申し訳ありません。


声をかけていただくことで、たまに悲しくなることがあるものですから…。長文失礼いたしました。