法楽日記

デジタル散策記&マインド探訪記

河合隼雄(著)「河合隼雄のカウンセリング講話」

河合隼雄(著)「河合隼雄のカウンセリング講話」を読みました。大変な業績を残された心理学者であり、また元文化庁長官でもある河合隼雄さんの講演録です。下記の5つの講演録が収録されています。

  • 第1章 カウンセリングと女性
  • 第2章 カウンセリングと芸術
  • 第3章 禅仏教とカウンセリング
  • 第4章 日本中世の物語の世界
  • 第5章 病をいかに受けとめるか

興味深かったお話をいくつか紹介します。

絵の好きな人に名画の模写をしてもらうと、どうしても元の絵とはちょっと違う絵になるそうです(p.61〜62)。どんなに似せて描いてもらっても、どうしても一人一人違うのだそうです。その違う部分に個性が出ているのかもしれないそうです。ですから模写を繰り返すと一人一人の個性が段々と見えてくるかもしれないそうです。指導者や周りの人だけでなく、本人にとっても大きな発見となるかもしれません。

音楽にしろ演劇にしろ、作品の生まれ故郷出身の人達には、外国人はどうしてもかなわないそうです(p.76〜78)。その地域の文化と一体化しようと思ってどんなに頑張っても、その地域の人達にはどうしても歯が立たないそうです。ところが、作品や作家の背景となる文化よりもさらに一歩深めて、同じ人間として作家が作品を通して表現したかったことを捉えることができれば、生まれ育ちに関係なく、共感を呼ぶパフォーマンスを演ずることができるそうです。作家や作品と深い深いところで繋がることが大切なのだと思いました。

フロイトユングをはじめ創造的な活躍した人たちは、中年期に大きな病を経験している人が多いそうです。その病からの回復後に創造的なお仕事をされているそうです。そのような現象を「創造の病」と呼ぶそうです(p.201〜204)。発見者であるエレンベルガーによる命名だそうです。

この本を読んで、カウンセリングも「心の活元運動」を起こしているのかもしれないと思いました。