古今東西、時代により、地域により、様々な政治体制・社会構造が取られてきました。
その時々の政治体制・社会構造のあり方は、人々の暮らしに大きな影響を与えます。一方で、人々の心のあり方が、その時々の政治体制・社会構造を作り出し、支えているとも言えるように思います。したがって、本当に重要なのは政治体制・社会構造といった仕組みの話ではなく、人々の心のあり方、考え方、生き方ではないかと思います。中でも、人々が抱える煩悩が政治体制・社会構造に与える影響はとても大きいのではないかと思います。
これまで登場した様々な政治体制・社会構造における「力を持つ者」を大雑把に分類すると、偉人、武人、富者、民衆の4つに分けることができるのではないかと思います。いずれの形態においても、「力を持つ者」や人々が煩悩から離れているときには天国のような社会を実現できる可能性を秘めていると思いますが、逆に煩悩に犯されてしまった場合には地獄のような社会が現出する危険性を孕んでいると思います。
力を持つ者 | 力の源泉 | 犯されやすい煩悩 |
---|---|---|
偉人 | 願望を実現する力 | 痴(おろかさ) |
武人 | 武力で制圧する力 | 瞋(いかり・おそれ) |
富者 | 物欲を刺激する力 | 貪(むさぼり) |
民衆 | 連携・対話する力 | 慢(思い上がり) |
したがって、どんなに素晴らしい政治体制・社会構造を構築できたとしても、「力を持つ者」や人々が煩悩に惑わされてしまうと、地獄のような社会に向けて少しずつ変質していくことは避けられないと思います。
しかし工夫次第で、政治体制・社会構造を変質しにくくしたり、変質速度を遅くしたりすることができると思います。多少なりとも時間稼ぎができれば、社会の悪化を防いだり、社会を改善していったりできる可能性が高まるのではないかと思います。
そのためには、行政情報は誰でも簡単に監視できて(オープン)、誰でも自由に意見表明・意見交換できる(自由で開かれた対話)と同時に、大勢の関係者が心から納得しないと大きな変化を起こせない仕組み(ラフ・コンセンサス)を作るとよいのではないかと思います。
ただし、このような仕組みを導入した場合でも、一番重要なことはあらゆる人々が煩悩に対する免疫力を持ち、煩悩に惑わされることなく生きることだと思います。それこそが最終的な解決策だと思います。