法楽日記

デジタル散策記&マインド探訪記

永田和宏,知花くらら(共著)「あなたと短歌」

永田和宏,知花くらら(共著)「あなたと短歌」を読みました。細胞生物学者であり著名な歌人塔短歌会前主宰)でもある永田和宏さんと、短歌愛好家でありファッションモデルであり国際連合世界食糧計画(WFP)日本大使でもある知花くららさんの対談本です。平成28年(2016年)に週刊朝日に毎月1回ずつ掲載された「週朝歌壇 知花くららの『教えて!永田先生』」をもとに、大幅に加筆修正して再構成して作られた本だそうです。

前半は、短歌を『詠む』ための技法と心構えをテーマとした対談でした。この対談から現代短歌の視点が伝わってきたように思いました。短歌はそれぞれの時代の人々の視点と感性で詠まれていて、現代短歌もやはり現代人の視点と感性で詠まれているんだなと思いました。翻って私自身のことを考えると、世間一般とどんなに違っていようとも、やはり私自身の視点と感性でしか詠めないんだろうなと思いました。

後半は、短歌を『読む』ことをテーマとした対談でした。短歌の読み方、受け取り方は本当に人それぞれのようです。短歌はわずか三十一文字ですので、詠み手が伝えたかった情景や情緒と、読み手が受け取った情景や情緒が大きく異なっていたとしても、まったく不思議ではありません。人はそれぞれ人生経験も暮らしぶりも感性も大きく異なるでしょうから、これはもう避けられないことなんだろうと思います。詠み手も読み手も、誤解を避ける努力は大切だと思いますが、その一方で開き直ることも重要ではないかと思いました。そのバランス感覚が鍵なのかもしれません。

あらゆる分野で言えることだと思いますが、短歌においても「創作と鑑賞(詠むことと読むこと)」は車の両輪なんだなと思いました。両方揃わないと前に進めないんだなと思いました。