法楽日記

デジタル散策記&マインド探訪記

人間と科学技術

果たして科学技術の発展は人間の脅威となりうるのか、自問自答形式で書いてみました。


〔Q1〕人工知能は人間の脅威となりうるでしょうか?

人工知能の用途については、囲碁・将棋・チェスなどのボードゲームへの適用と、医療、司法、軍事など現実世界への適用は分けて考えたいと思っています。

囲碁、将棋、チェスなどは、ゲームのルールが厳密に定められていて、勝敗判定はそのルールの中で行われます。ゲームのルールに乗っ取って指し合うだけであれば、人間よりも遥かに強いソフトが開発されても社会に対して悪影響を与えることはないと思います。逆に、強いソフトの指し手を研究することで人間の棋力も向上すると思います。また、人間より遥かに強いソフトが現実に存在しているというだけで、人間の向上心をさらに燃え上がらせてくれるのではないかと思います。ですから、頭脳ゲームや頭脳パズルでより良い手を研究するためにコンピューターを使うことは、とても有効だと思います。

一方、医療、司法、軍事など現実世界への適用となると話は別だと思います。囲碁、将棋、チェスなどと違ってルールを厳密に決めることができないため、人によって正解・不正解が異なるからです。例えば医療診断用の人工知能システムを構築するとします。医薬業界と強く結びついた医学会が診断の正誤を決めて、その診断ルールに従順に従う人工知能システムを開発することはできるかもしれません。しかし果たして、その診療方針はどのくらい適切か?医薬業界を儲けさせるだけになりはしないか?そういった人工知能以前の問題が残ると思います。同様に、人工知能の司法への適用も問題があるのではないかと思います。出資者(国家等)の方針に従順な判断になりそうだからです。軍事、特に攻撃への応用はもってのほかだと思います。戦場にはいない出資者(軍事エリート)がルールを決めると、命や大地を粗末に扱う可能性が高いと思うからです。したがって、人工知能技術を現実世界に適用するときは、問題領域(ルール)を厳密に記述できる特定領域に限定すべきではないかと思っています。

人工知能の応用を限定的にする場合であっても、人工知能を含めたコンピューター技術・ネットワーク技術は資源とエネルギーを膨大に浪費するので、利用については全般的にほどほど感が必要ではないかと思います。


〔Q2〕科学技術の発展は人間の脅威となりうるでしょうか?

科学技術の発展については、科学と技術を分けて考えたいと思っています。

科学はこの宇宙の真理を見極めるための学問なので、それ自体が社会に悪影響を与えるものではないと思います。ただし、科学的な実験観察のために環境や財政を破壊することがないよう注意が必要だと思います。

一方、技術については良し悪しがあると思います。技術が必要となるのは、問題を解決するためだったり、性能を向上させるためであったり…。人間が「これはこうあるべき」と思うことを実現するために技術が使われるように思います。しかし「あるべき姿」の内容は人によって違うと思います。その議論が不十分なまま推進するのはとても危険だと思います。

技術開発・推進に関しては、何か大きなルールが必要ではないかと思います。例えば「最悪の事態が許容範囲内であること」「地球や生命の循環システムを破壊しないこと」「いのちと地球を尊重すること」という三原則ルールを全世界で導入すれば、原発、遺伝子操作、薬物等に大きな制約がかかると思います。この三原則は一例として書いたものですが、何か世界中で共有できる原則を決めた上でひとつひとつの技術の良し悪しを判定していくようにすれば、袋小路に陥ることなく議論できるのではないかと思います。

人類にとって、地球にとって、宇宙にとって大切なことは何か?これらについてきちんと議論すれば「金儲け!」以外の答えに行き着いて、世界で共有できる素晴らしい原則を打ち立てることができるのではないかと思います。そして技術開発に適切な制約がかけられるようになるのではないかと思います。

とはいえ、世界で共有できる原則を打ち立てるのは簡単ではないとも思いますので、ちょっと楽観的すぎるかもしれません。しかしそれでも、原則を提案することは意味のあることではないかと思います。意見の違う人たちに、不安の内容が伝わりやすくなると思うからです。


〔Q3〕アンドロイドやクローンは人間の脅威となりうるでしょうか?

アンドロイドとクローンについてですが、これも分けて考えたいと思っています。

アンドロイドは道具だと思います。人間には『いのち』は作れないからです。人工知能も道具だと思います。道具は道具らしく作らないといけないと思います。

クローン人間が生まれたとすると、その人は人間だと思います。『いのち』を持っているからです。クローンという技術が使われたかどうかは本質ではなくて、ちょうど一卵性双生児がそれぞれ人格・人権を持っているのと同様に、クローン人間もひとりの人間だと思います。ですから臓器取りに使うのは人権侵害だと思います。