法楽日記

デジタル散策記&マインド探訪記

役に立つ

「人様の役に立つ」という言葉は、人に勇気を与えることもあれば、人を傷つけることもある、両刃の剣のような言葉だと思います。

現代社会で「役に立つ」というと、産業立国という目標の実現に「役に立つ」ことを想像する人が多いのではないかと思います。あるいは、人様に喜んでいただいたり楽しんでいただいたりすることを想像する人も多いかもしれません。そして金品や名誉や謝意を得ることで「役に立った」ことを実感するのではないかと思います。このようなことができる方々にとっては、「人様の役に立つ」は勇気を与える言葉ではないかと思います。

一方で、病気そのほか様々な理由から、上記のような意味で「役に立つ」ことが難しい方々もいらっしゃることと思います。そして、中には「人様の役に立つ」という言葉に傷ついておられる方もいらっしゃるかもしれません。

しかしながら「役に立つ」という言葉が表す範囲は、本当はもっとずっとずっと広いのではないかと思います。

例えば「周りの人が優しい気持ちになる」ことを「役に立つ」ことの目標にすると、前提も風景も全然変わってくるのではないでしょうか。仏教の「布施」には様々な種類があるそうですが、その中に、「眼施:好ましい眼差しで見る」「和顔施:笑顔を見せること」「言辞施:粗暴でない、柔らかい言葉遣いをすること」があるそうです。ですから、和顔・愛語で暮らすだけで身の回りの人たちに対して素晴らしい「お布施」をしていることになると思います。それで「周りの人が優しい気持ちになる」のであれば、そしてその優しい気持ちがどんどん伝播していくのであれば、誰にも真似できない素晴らしいお役目を果たしていると思います。

人から認められるかどうかも、ある意味でどうでも良いことだと思います。大切なのは「自分で自分をどう評価するか」だと思います。もちろんこれは、ある種の自己満足におちいる可能性はあると思います。しかし、最初から百点満点な人はいないと思います。自分を磨くと同時に、自分の物差しも磨いていって、質の高い自己満足感を得るように生きていけば良いと思います。そうすると自然に自己中心的な満足感では満ち足りなくなってきて、大きな目標に向かって走り出すことと思います。そして人間としてどんどん成長していくと思います。

困難に直面している方々がこのような方向に気持ちを向けるお手伝いができると素晴らしいなと思います。